理系塾講師のブログ

塾講師歴27年、理系全般、あらゆる学年を指導してきました。

中学受験の理科は難しい

中学受験の理科は実はとても難しいが、実は皆さんそれをあまり分かっていないことが多い。実際に生徒を指導、中学受験から大学受験の理系全般を指導可能な講師の視点から解説してみたい。

 

【内容について】

物理、化学、生物の内容を全て含む。「中学で学習する理科の方が小学生の理科よりも当然難しくなるだろう」という誰でも考えそうなことが、受験に関しては全くあてはまらない。むしろ逆である。高校受験の理科の方が簡単である。

中学の理科は悪く言えば「ただの暗記」で済む部分が大半で、ただの記憶力勝負であることが多い。知識さえ蓄積すれば受験でも乗り切れるのだ。

一方、中学受験の理科は、高校レベルの物理、化学、生物を解くかのような、理屈の理解や思考力を必要とする場合が多い。一つ例を挙げると、物理分野では「モーメント」の理解が必要だったりする。また、受験算数の知識を絡めた計算を化学計算でさせたりもする(つるかめ算とか)。

それを小学生が解くのだから、難度はさらに上がってしまう印象だ。

 

【講師側の裏事情】

中学受験の理系講師には、「中学受験で名門私立中出身だが、大学は文系」の講師が結構存在する。純粋な理系ではない講師が算数や理科を教えていることがよくある。

算数は「受験算数」のいわゆる「特殊算」があり、それを攻略するためのノウハウがかなり整備されているので、「ベテラン講師の良い授業をパクる」ことで、知識を短期間で身につけた上で、「自分の授業で繰り返し再現」し続けることで、自分のものになり、「わかりやすい授業」を行えるようになる。

また、教材についても、中学受験大手塾のテキストやプリントを見れば、よく練られていることが分かる。

 

それが理科になると、「そもそも良いテキストが存在しない」状態で、「過去問から良問をピックアップして問題集にする」方法が最適ということになってしまう。

(大手塾が実施している「模試」を参考にするという方法もあるが。)

すると、「大学受験の物理、化学、生物まで分かっている講師」が「きちんと問題選定」し、しかもそれを「きちんと解説できる」状態でないと、中学受験の理科で生徒の実力を向上させることは難しいと思われる。

 

高校の理科を理解していない文系出身の先生は、実はきちんと理屈が理解できていないことが多いので(または理系でも物理や化学が分かっていない講師も同じ)、理科を教わるときには注意が必要だ

生徒にとっても、講師にとっても、中学受験の理科は難しいのである。