理系塾講師のブログ

塾講師歴27年、理系全般、あらゆる学年を指導してきました。

リモート授業

現在、私はZoomによるリモート授業を行っている。

(対面個別指導も行っているが)

 

ひと昔前は、管理面に問題があるから対面授業に劣る。

というイメージがあり、実際自分もそう考えていたが、継続してやるにつれ対面授業よりもリモート授業が優れている面も見えてきた。

 

【リモート授業の良い点】

遠隔地の生徒の指導が可能・・・これがまず最大のメリット。近隣の生徒しか指導できない問題を解消して、対象地域が全国(もっと言うと世界、実際、イギリス留学中の生徒をSkypeで1年間指導したこともある)に広がる。

通塾時間が無い・・・やる気ある生徒ならば、通塾時間を勉強時間に充てられる。

塾内での友人関係や人間関係にエネルギーを取られることがない・・・勉強に集中したい生徒にとっては良い。

 

ある程度の指示で本人が「自分でできる」生徒でないとリモート授業は無理だが、

(現状、小学生はほとんど無理だと思っている。やる気ある中学生から上の学年が現実的か)上手く使えればリモート授業は便利なツールのひとつである。

受験合格で大事な要素

受験で成功するために大事な要素とは。

結構見過ごされていたり、分かっていない人が多いと思う。

多くの生徒を見てきた塾講師の視点から、受かる生徒の共通点を書いてみたい。

 

①なりたい職業があり、本人が絶対になりたいと思っているか、なるものと思っている。

②行きたい大学がある。「〇〇大学の大学生活楽しそう。入りたい。」「入れたら自分はカッコイイ」という動機でもいい。(ただし、燃え尽き症候群には注意)

 

・誰かに言われた。実は自分の意志ではない。

・実現するには勉強は避けては通れないと自覚していない。

 

という状態のまま受験勉強をさせようとすると、

「本人の自覚」がないので何をやっても厳しい。(中学生より上には自覚が必要。小学生には自覚は厳しいのでふんわりとした親の希望の目標設定でもよい。)

逆に動機がしっかりしていれば、合格するための教材と必要な勉強時間数、学習計画をこちらで用意すれば、「あとはやるだけ」状態なので、こちらが放っておいても勝手にどんどん成長していく。

 

「やる気」という言葉があるが、そもそも「やる気を出す方法など無い」という話を聞いたことがある。やる気を出すとか出さないとかそういうことではなく

 

・目標設定がされている

・そこに至る道筋が見えている

・「あとはやるだけ状態」だから「やる」

 

あとは、出来ないときに自分を責めずに許しながら、目標を意識する回数をできるだけ増やせば、目標実現に近づく。

 

子供が「勉強しているフリをしている」「勉強に身が入ってない」ように見えるときは、まずはこの「自覚」があるかどうかを見たい。

新高1に向けての塾のトーク例

小6→中1と同じく、中3→高1も塾としては営業しやすい。

 

いい意味でも悪い意味でも、どういったトークがされるのかを書いてみたい。

 

私立中高一貫はこれは全く関係ない(1年先取りのペースになるのでこれから述べる内容は中2ぐらいに起きているはず)

公立中学に通う生徒、保護者に対するトーク例だ。

中3は高校受験が終わって、生徒は「勉強からやっと解放される。いっぱい遊ぶぞー。」と遊ぶ気満々。実際、大半は遊ぶだろう。

・3月まるまる遊びまくって、せっかく受験勉強で身に着けた知識をすっかり忘れる

・勉強以外に楽しいこと(友人関係、部活、学校行事がメイン)が多く、勉強なんかやってる場合じゃない

・高1の数学は中学と比べるととても難しく、油断しているとすぐに分からなくなる(中学に例えると、中学5年生(1年分飛ばしたくらい難しいと言いたいらしい)のレベル)という印象

 

ここで、

「新高1準備講座」でスタートダッシュを切ろう!

となる。3月中に高1内容の約2か月分のカリキュラムを先取り消化して、「勉強以外の学校生活も全力で取り組めるよ」と高校に入ったら貯金があるから少し勉強しなくても大丈夫という雰囲気にもっていく。(真面目に勉強しなきゃいけないというトークはNGであることがよく分かる)

 

塾的には、中3が卒業してごっそり抜けると売り上げ的には大打撃なので、上手く継続させることはとても重要である。また、自分で強い意志を持って何かするという大変(これが人生においては大事で鍛えるべきなのだが・・・)な部分を全部「塾任せ」にできるという心理的な安心を強調できるとなお良いだろう。

保護者的には、うーん、やっぱり不安を煽られるかな。

生徒本人的には、不安を煽られた後、安心させられる流れだ。

そして保護者・生徒共に「楽ができる」と思わされる。

それを分かった上で自分のメリットを考えてもらいたい。

 

これも、相手の意図と自分の求めているものの両方を理解した上で、それに乗るか乗らないかを決断できるようにしたいものだ。

小6→中1の時期に塾がするトーク例

新中学1年生の保護者に向けた塾側のトーク例を書いてみたい。

不安を煽るのが定番でしょうね。

 

【不安材料】

・新しい友達関係構築でエネルギーをつかう

・勉強のレベルが上がって難しくなる

・部活

「勉強以外のイベントのせいで、勉強どころではない。少しでも勉強に躓いてしまうとついていけなくなってしまう。だから塾でスタートダッシュがすごく大事なんです!」

特に英語と数学(国語も大事なのだが、営業トーク上何をどうしたらいいのかがわかりにくいので除外することが多い)。

「2月3月の進級前にいかに準備できるかが勝負です」

とここぞとばかりに宣伝、集客を頑張る。

 

周囲の影響を受けがちな生徒、保護者だと、この流れに乗せられると抗えないかもしれない。

 

集団塾だと、進度を皆に合わせねばならず、スピードアップができないので、

効果的に進めることは難しいが、

個別指導で高校受験に精通している講師に、週1回、1時間で、

正負の数、文字式の計算、方程式

までを1か月~1か月半で指導することが可能だったりする。

(将来的に医学部や国立大学志望の生徒のカリキュラムは中学内容を圧縮して短期間で学習を計画するため、私が指導するときにはこれぐらいのペースで行う。)

 

不安を煽られて感情的になって決めるのではなく、

相手の意図を理解した上で、それに乗るか乗らないかを決断したいものだ。

信頼を勝ち取る瞬間

「塾と家庭教師は嫌がって大変ですが、先生のレッスンは一度も嫌だと言ったことはありません。本人の希望で今後も継続させていただきたいので宜しくお願いいたします」

 

保護者の方から最近いただいたメールだ。

小学3年から教えていて、某有名中学受験塾→理系専門中学受験塾に通う生徒で、最近は集団塾の算数フォローがメインだ。

お母さんからこういうメールを頂くと、客観的に自分の講師としての力を判断できるので嬉しい。

 

小学生から医学部受験を目指す高校生まで、どの年代の生徒とも上手くやる能力

は他の講師より持っているようだ。

 

でも、それは人として相手を尊重するときに大事なことを実践しているだけなのだ。

「相手に興味を持って、相手の話をよく聴く」

ことだ、同じレベルになってあげて話を聴くといい。

 

多くの塾講師が、

・教える人が上で教わる人が下

・年上が上で年下が下

・子供の好きなこと(趣味や熱中していること)で「お勉強に関係ない」(講師の主観で)ことを「否定」する→口うるさい親とまったく同じ。周囲に結構いる。

・実は割と自分にしか興味がない

こういう状態で生徒に接する。当然信頼は得られない。

 

人間関係構築をすっ飛ばして、「いい授業をする」ことに集中して、上手くいかないときに原因が分からない・・・となる。

大事なプロセスを1つ抜かしているのだ。

怒鳴ることは必要か?

県内では大手と呼ばれる小中メインの集団塾に正社員として勤めていた時のお話。

 

社内の授業研修で、

言うことを聞かない生徒に対して、「怒鳴る」ことが是とされていた。

1クラス20名~30名のクラスで、

・宿題をやってこない

・授業態度が悪い

・やる気が無い

等の生徒に対して、他の生徒のいる前で恫喝するのだ。

自分のキャラ的に疑問を感じながらも会社の一員としてその行動に従って生徒を怒鳴ったことがある。

普段怒るキャラでは無い人間が怒鳴る・・・。

怒られる生徒にとっては「恐怖」だったろう。本当に申し訳ないと思っている。

 

人間を突き動かず要因の一つとして、「恐怖」が挙げられるが、

教育の現場では最も利用してはいけないものの一つだと思う。

怒られた側は、人間不信やトラウマになってしまうと思う。

その集団塾を辞めてから(もう15年程前のことだが)他で生徒を指導することになったとき以来、生徒を怒鳴ったことは一度も無い。(自分の行ってきたことの間違いを認め、それを二度としないと心に誓ったのだ。)

生徒を合格に導くことに関して、「怒鳴る、怒る」を排除しても、生徒はしっかり成績を上げることはできるし、合格を勝ち取る。

 

怒鳴ることは必要ない。

 

 

中学数学の躓きポイント

具体的な教科について、気をつけるところも書いてみたい。

 

中学1年の数学における躓きポイント

生活が新しくなって、環境が大きく変わり、

・人間関係築き直し

・人間の上下関係的に一番下っ端(部活に入れば特に意識する)

結構勉強以外で使うエネルギーが大きく、勉強以外に楽しいことが増えていく。

スタートダッシュは大事だが、その中でも重要な教科はもちろん

国語、英語、数学

他の教科より「継続して学習する」ことが重要な教科だ。

その中でも数学については、

 

「正負の数」でマイナスを知る。計算にこつはあるが、何とか皆クリアできるだろう。

その次に「文字式」が登場、文字を知る。次に「方程式」だ。

簡単だと思われがちだが、

・正負の数の「かっこ」の処理で混乱

・文字式の計算と方程式の区別ができなくて混乱

小さな躓きを放置しておくと、ここで計算ミスを連発し、

 

マジで面白くない、ムカつく、数学なんか何の役に立つの、やーめた。

 

となってしまう。ここは慎重にいきたい。